医療保険の女性特約は付けるべき?
※画像出典:Pch.vector – jp.freepik.com によって作成された woman ベクトル
保険見直しのアドバイスサービス「保険見直しセカンドオピニオン」で
よくある質問に
「医療保険に女性(疾病入院)特約は必要ですか?」
というのがあります。
女性が医療保険を検討する時に
特に希望していないのに付帯(追加)されて
販売されるケースが多いのが
「女性疾病入院特約」
です。
特約の名称は保険会社によって違いますが、
通称「女性特約」。
さて、この特約は本当に必要でしょうか?
目次
結論:ほぼ不要
女性の医療保険の見直しプランを拝見すると8割くらいの確率で追加されているのが
女性特約ですが、「ほとんどの場合で不要」です。
その理由をこれからご説明します。
医療保険の基本と女性特約の大きな誤解
女性特約が不要な理由をお話する前に医療保険のしくみに簡単に触れておきます。
医療保険は保険商品の骨格となる「主契約」と主契約に追加する「特約」で成り立っています。
医療保険の主契約として多いのが
- 病気で入院したら1日〇〇円給付(疾病入院給付金)
- ケガで入院したら1日〇〇円給付(傷害入院給付金)
というものです。
とてもシンプルな内容ですね。
ここで大切なことは2つ。
- 病気入院とケガ入院は別々にカウントされる。
- 病気入院の対象となる病気は限定されていない。
1つめの特徴は通算いくら受け取れるのか?に関わります。
例えば、疾病入院給付金の通算支払い日数が720日となっている場合、保険期間中に延べ720日の入院に対して給付金がもらえます。そして、721日目に不運にもケガで入院した場合、傷害入院給付金として給付金を述べ720日分もらうことができます。
この違い、小さなことですが、意外と知られていません。
しかし、特に大切なのは2つ目の方で、多くの方が誤解されているケースが多いです。
どのような誤解かと言うと、
「女性特有の病気で入院すると保障されない(給付金がもらえない)のでは?」
ということです。
子宮筋腫、子宮内膜症などの子宮系の病気、
卵巣系、乳房系の病気は女性特有の病気ではありますが、
病気であることに変わりありませんので、
医療保険の支払い対象になります。
ですから、
「女性特有の病気で入院すると保険がおりない(もらえない)」は誤解です。
もし、今加入している医療保険に女性特約が追加されているなら、
知らずに多く保険料を払っているかもしれません。
女性特約の内容とは?
女性特約は、保険会社が決めた「女性特有の病気」で
入院(もしくは手術を含む場合もあります)した場合、
「主契約とは別で上乗せで保障します」
という内容です。
つまり、女性特約を追加した医療保険に入って
女性特有の病気で入院すると
主契約の金額+女性特約の金額=受け取れる金額
となります。
あくまでも上乗せ保障である点は覚えておきましょう。
女性特約の保障範囲は?
女性特約の保障対象の病気は保険会社各社によって異なります。
多くは子宮、卵巣、乳房などの病気、異常分娩などです。
さらに甲状腺や関節リウマチ、高血圧を対象にしている会社もあります。
他に貧血(による入院)や糖尿病までを対象にしている会社もあります。
このように、女性特約と一口に言っても
その内容は異なっていることがありますので
保険会社のパンフレットや約款で確認するようにしましょう。
女性特有の病気はお金がかかる?
「女性特有の病気ってきっと高額な治療費がかかるのかも?」
と思ったことはありませんか?
確かに病気によっては、退院後に健康お金がかかるケースもあるかもしれませんが、
健康保険証を提示して保険診療の範囲で治療を受ける場合、
70歳未満の方は、治療費の自己負担は3割で済みます。
さらに、高額療養費制度という治療費の自己負担額が
一定額以上となった場合に請求によって還付される「高額療養費制度」もあります。
払い過ぎた自己負担額は申請をして戻されることになります。
高額療養費のイメージは下の図のようになります。
※画像出典:全国健康保険協会HPより(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3030/r150/)
そして、1か月あたりの自己負担限度額は70歳未満の場合は以下のようになります。
※画像出典:全国健康保険協会HPより(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3030/r150/)
つまり、女性特有の病気でも、自己負担額は一定額までで済むことになります。
さらに、高額療養費として払い戻しを受けた月数が1年間(直近12ヵ月間)で3月以上あったときは、4月目から自己負担限度額がさらに引き下げられる「多数該当高額療養費」という制度や
世帯で複数の方が同じ月に病気やけがをして医療機関で受診した場合や、お一人が複数の医療機関で受診したり、一つの医療機関で入院と外来で受診した場合は、自己負担額を世帯で合算することができ、
その合算した額が自己負担限度額を超えた場合は、超えた額が払い戻される「世帯合算」制度もあるため、長期療養の場合も治療費の自己負担額が高額になる可能性は低いと言えます。
これらの社会保険制度をしっかり理解した上で、医療保険の上乗せ保障である女性特約を追加するか検討するようにしましょう。
女性特約を追加した方が良い場合とは?
基本的には高額療養費があるため、ほとんどの場合で女性特約を追加する必要性はないと言えますが、以下のケースは女性特約を追加しておくと良いでしょう。
女性特約をつけた方が良いケース
1:異常分娩に備えたい人が妊娠前に加入しておくケース
これから出産を予定している方で、帝王切開や切迫早産、切迫流産などの異常分娩が気になる方は妊娠が分かる前に女性特約を付けておき、産後に女性特約のみ解約する方法があります。
第一子を異常分娩などで出産された場合、第二子の出産に備えて女性特約を付ける場合、分娩関連の入院が一定期間支払い対象外となる「条件付き加入」となることがありますので、加入時期には注意してください。
2.乳がんが心配で乳房再建手術の費用を保険で賄いたいケース
保険会社によっては女性特約の保障範囲に「乳房再建給付金」というものがあります。
これは、乳がんになり、乳房切除後の再建手術ですが、その際に給付金が受けられるというものです。
2021年8月現在は以下の保険会社で取り扱われています。
ネオファースト生命 「ネオdeいりょう」
東京海上日動あんしん生命 「メディカルKit NEO」
※画像出典:東京海上日動あんしん生命HPより
まとめ
女性特約を付けるなら、商品内容を見比べつつ、加入目的と加入期間を決めて追加するようにしましょう。
くれぐれも「勧められるまま何となく」で入らないようにしてくださいね。
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