40代は「お金の悩みのサンドイッチ世代」——重いのは、数ではなく種類が違うからです

40代の方からのご相談で、いちばんよく聞くのがこの言葉です。

「頭の中がごちゃごちゃしていて、何から手をつけていいか分からない」

内容を伺うと、たしかに悩みの方向が多方面にわたっています。

  • 自分の老後のこと
  • 住宅ローンと金利のこと
  • 子どもの進路と教育費のこと
  • 実家の親のこと、義理の両親のこと

上の世代と下の世代から挟まれる形になるので、「お金の悩みのサンドイッチ世代」と呼ばれることもあります。

ただ、お話を伺っていて思うのは、重さの原因は悩みの数ではないということです。

3つは、性質がまったく違います

自分・子ども・親。この3つを並べて、2つの軸で見てみます。

いつ来るか(時期) と、自分で決められるか(可変性) です。

子どもの教育費

時期は、ほぼ確定しています。何年後に何が起きるかが、生まれた時点で分かっている。金額も、進路の選択肢ごとにおおよその幅が読めます。そして、進路は家族で相談して決められる部分があります。

自分の老後

時期は遠く、金額には幅があります。ただし、自分で決められる範囲がいちばん広いのもここです。いつまで働くか、どこに住むか、何にお金を使うか。すべて自分の選択です。

親のこと

ここだけ、性質が違います。いつ来るか分からず、いくらかかるかも分からず、そして自分だけでは決められません。

介護がいつ始まるかは誰にも分かりません。どれくらいの期間になるかも、どんな形になるかも分かりません。そして最も大きいのは、親自身の意思が必要になるということです。

重いのは、3つ目です

40代のご相談が重く感じられる理由は、ここにあります。

計画できないものを、計画しようとしている。

そして計画できないので、そこで止まる。

止まっている感覚が、教育費や老後といった「本来は進められるはずのもの」まで巻き込んで、全体が動かなくなります。

「親のことが片付いてから考えます」——このお言葉を、何度も聞きました。

けれど、親のことは片付きません。片付いたときには、もう終わっているからです。

分ける、というだけのことです

やることは、意外と単純です。性質の違う3つを、同じ土俵に乗せないこと。

教育費は、確定させる

時期が決まっているので、確定させられます。いつ、いくら必要かを書き出す。ここは調べれば分かる範囲です。

老後は、幅で持つ

何十年も先のことを一点で決めても意味がありません。幅で持ったまま進めるのが正しい扱い方です。そして、可変性がいちばん高いので、後から調整できます。

親のことは、準備ではなく把握から

金額の準備をする前に、やることがあります。

  • 親がどこに住み続けたいと思っているか、聞いてみる
  • どんな備えがすでにあるのか、確認する
  • 判断が難しくなったとき、誰に何を任せたいと思っているか、確認する

これは金額の話ではなく、コミュニケーションの話です。そして、これだけは、本人が元気なうちにしか確認できません。

親のことで唯一、いま自分の側から動かせるのは、この部分です。

ただし、話すことにも負荷があります

ただし、親とお金の話をするのは、そんなに簡単なことではない場合もあります。

  • 「早く死ねということかっ!」とネガティブに受け取られることがあります
  • 質問しても、親自身が無関心だったり、全然決めていないこともあります。
  • 兄弟姉妹がいる場合、こちらの動き方によって兄弟姉妹の関係がこじれることもあります

一度で全部聞き出そうとしないことが、実務的にはいちばん大事です。帰省のたびに一つずつ、くらいの速度で十分です。

そして、聞けなかったとしても、それは失敗ではありません。 「まだ聞けていない」と分かっている状態と、考えたこともない状態は、まったく違います。

順番の話

整理するとこうなります。

  1. 確定できるものから確定させる(教育費)
  2. 幅で持っていいものは幅のまま進める(老後)
  3. 決められないものは、情報を集める(親のこと)

3つを同時に解決しようとするから動けなくなります。性質が違うのだから、扱い方も違って当然です。

最後に

40代のご相談で私が最初にすることは、アドバイスではありません。

3つを一枚の紙に並べて、どれがどの種類なのかを分けることです。

これだけで、「何から手をつけていいか分からない」という状態は、かなり変わります。問題が減るわけではありませんが、動かせるものと、いま動かせないものが分かれるからです。

そして、動かせるものから動かす。それだけです。

3つを、一枚に並べてみませんか

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この記事を書いた人

下田 幸彦のアバター 下田 幸彦 青い森FP事務所 代表

保険も投資商品も売らない独立系ファイナンシャルプランナー(CFP®/J-FLEC認定アドバイザー)。元ITエンジニア。「50代からでも間に合う資産形成と資産防衛」をテーマに、中立の立場でお金の相談に応じています。幻冬舎ゴールドオンライン連載中。