これはある日の新聞の折込広告に入っていた
ある分譲住宅の販売チラシです。

「お家賃感覚で新築住宅が手に入ります」とありますね。

これは私がハウスメーカー専属FPをしていた時にも
同じようなチラシを新聞折込に何万部と配布してた記憶があります。

 

住宅販売チラシの落とし穴

あなたはこのチラシを見てどこに落とし穴があるか分かりますか?

月々57,694円~という表示の部分をよ~く見てください。

住宅ローン2438万円借入40年返済の場合 月々57,694円~(ボーナス返済なし)

※平成29年7月1日現在 3年固定金利0.65%での計算です。
※土地・建物価格の他に別途諸経費が必要となります。
※融資条件など詳しくはお問合せ下さい。

とあります。

チラシチェックのポイントは
・40年返済
・月々57,694円~
・3年固定金利0.65%
・別途諸経費

一つ一つ分解して考えてみましょう。

1.40年返済

これまで住宅ローンは最長35年返済が主流でしたが、
最近では40年返済や50年返済の住宅ローンもありますね。

住宅ローンは同じ金額なら、返済期間を長くすればするほど

毎月の返済額は少なくて済みますので返済は楽になります。

 

だから「今と同じ家賃程度で買えますからいかがですか?」

というわけです。

 

でも、40年って結構長くないですか?あなたが住宅ローンを組むのは何歳でしょうか?

その年齢にプラス40年~50年経ってようやく住宅ローンが終わりますが、果たして何歳でしょうか?

 

そしてその時あなたは築40年の家に住んでいます。

定期的にメンテナンスをしていれば築40年でも良さそうですが、

その維持費もかかります。

 

30歳で住宅ローンを組んだとして40年返済なら、完済年齢は70歳。

35歳なら75歳。40歳なら80歳。

75歳や80歳のときに今と同じ体力と賃金で働く自信はありますか?

優雅な年金生活は送れているでしょうか?

 

では、住宅ローンの完済年齢から逆算してみましょう。

60歳や65歳で住宅ローンを返し終わるとすれば、

20歳や25歳で住宅ローンで組む必要がありますね。

 

今は少子化で大学全入学時代です。

特にこだわりがなくてお金があれば

どこかの大学の学生にはなれる計算です。

 

20歳と言えばまだ学生か専門学校を卒業して

早くても社会人1年目。

 

高校卒業で就職したとして社会人2年目。

その初任給で40年返済の住宅ローンを

組んで余裕を持って返していけるでしょうか?

これまでの一般的なマイホーム計画で考えると

かなり無理がありますよね。

 

25歳なら大卒で社会人2~3年目で住宅ローンを組むことになるでしょう。

同様に考えてみても同じような結果になるでしょう。

しかも、今や大学生の二人に一人は奨学金を利用して学校に通っています。

 

奨学金は大学卒業してから返済が始まりますから

初任給から奨学金返済に加えて住宅ローン返済も

するのはかなり厳しいでしょう。

 

地方で働くなら他に通勤用の車も必要になります。

車一台を買う現金が学生時代の貯蓄から出せなければ

自動的に親に借りるか自動車ローンを借りることになります。

 

そもそも若いうちから「早く家を持つ事が一人前の証」という人が少数派だと思いますが、

30代や40代になって住宅ローンを組んでも、

かなり若いうちに住宅ローンを組んだとしても

明るい老後は期待できなさそうです。

 

それでも最長40年ローンを組む時は以下の事を計画に入れておきましょう。

1.繰上げ返済のための貯蓄計画または資産運用計画を持つこと

2.途中で途絶えないもう一つの収入源の確保すること

 

1については毎月の支出の見直しや積立投資をする事である程度の効果が期待できます。

2については、簡単に言えば副収入(副業)をいくつか持ちましょうという話です。

ここでは、それらの細かいノウハウなどは省きます。

 

2.「~」がクセモノ

通常、住宅販売チラシに小さく小さく小さく書いてる住宅ローンの条件は

その住宅販売会社がよく利用する銀行の一番低い金利になっています。

 

今回の例でご紹介した「3年固定金利」とは「固定」とありますが、

「変動金利」の一種です。

この「○年固定金利」を固定金利期間選択型と呼びます。

今回は「3年間の金利が一定」というタイプなので、

4年目になると金利が見直されます。

 

通常は銀行も借りる人を増やすために最初の期間だけ金利の特別優遇をします。

でも、特別優遇は最初の期間だけなので期間が終わると店頭金利(物で言えば定価)

に戻りますから金利は上がり、毎月返済額も上がります。

 

そして、仮に3年毎に金利が見直されて段階的に金利が上がったとすると・・・

だから、返済額は「~」と幅を持たせた表現になっているんですね。

 

3.金利は3年固定で0.65%

これは先ほどお伝えした事と重なりますが、

実際にどれくらい返済額に差が出るか見てみましょう。

 

借入金額 2438万円、返済期間40年、金利0.65%(3年固定)、特別優遇金利=1.0% の場合

 

毎月返済額 57,694円

この0.65%の金利が、3年経過後に終了したとすると、

1.65%になるため

毎月返済額 69,417円 となります。

その差額は、11,723円ですね。

住宅ローンを組んでから3年後に返済額がアップします。

 

40年返済なら残り37年は高くなった(かもしれない)

返済額を払い続けていくことになります。

 

もし特別優遇金利が0.5%だったとしたらどうでしょうか?

適用金利は0.65%から1.15%になりますから

毎月返済額 63,390円 となります。

差額は毎月5,696円アップです。

 

「まぁこれくらいなら許容範囲」と思うか、

「もう無理、絶対!」と思うかはその人の収入などによって

変わってきますのでなんとも言えませんが。

 

まずは住宅ローンの基本的な仕組みを理解した上で、

最後まで払い続けられる住宅ローンはいくらなのかを

シミュレーションしましょう。

 

目先の金利だけを見てマイホームを購入すると後で痛い目をみることになります。

チラシなどの限られた情報(特に返済額)だけで購入を決断することのないように注意しましょう。

 

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